近年、人工知能(AI)は目覚ましい進化を遂げ、企業や店舗の業務効率化にも大きく貢献し、文章の作成から画像の生成、データ分析に至るまで、あらゆる分野でAIの活用が進んでいます。
しかし、その急速な広がりの裏側には、私たちが直面している深刻な問題やセキュリティを含むリスクが隠されています。
今日は一、プログラマー・システムエンジニアとしての立場から、AIの現状と根源にある課題、そして私自身が抱くAIについてお話しいたします。
AIの誕生から大きな転機
AI(人工知能)の研究は、今から約70年前の1950年代に始まりました。当時の研究者たちは「人間のように考えるコンピューター」を作ろうと考えましたが、計算能力の低さやデータの不足により、簡単なパズルやゲームを解く程度にとどまり、一度目のブームはすぐに終わりを迎えます。
AIに大きな転機が訪れたのは1990年代に入ってからであり、コンピューターの処理速度が飛躍的に向上したことによって、大量のデータを高速で扱えるようになりました。
その象徴的な出来事が、1997年にIBMが開発したAI「ディープ・ブルー」が、当時のチェス世界王者に勝利し、これはAIが特定の専門分野において人間を超える知能を持てることを世界中に証明した歴史的な瞬間でもありました(私がプログラミングを勉強し始めたきっかけでもあります)。
その後、膨大なデータから自動で学習=記録し、可能性を選択する技術を長年研究かつ蓄積し、現在のAIブームへと至ります。
高速クローラーから選択型AIへの進化
かつてのAIは、インターネット上の情報を超高速でかき集めて提示する「高速クローラー」のような役割が中心でした。しかし最近のAIは、提示された質問に対して文脈を理解し、無数の可能性の中から最適な答えを選び出して提案する「確率式選択型AI」へと進化しています。
仕事の効率が上がる一方で、私個人の本音を言えば、今のAIのあり方は全く好きではありません。誰でも簡単に文章や画像を作れるようになった反面、人間が自ら深く考え、試行錯誤する機会は奪われているからです。
利便性と引き換えに、思考の深さや人間らしさが損なわれる現状には、強い懸念を抱かざるを得ず、30年近くプログラミングやAIを学んできた身として残念に感じております。
開けてはならないパンドラの箱
私は2023年頃から、行政機関や金融機関との面談の場で毎回会う人会う人に「とんでもないものが世に出てしまいました」とお伝えしてきました(担当者の方からは「中村さん、ずっとそう仰っていましたよね」と言われています)。
世に出回っている現在の生成AIは、私から見ると「パンドラの箱」です。技術的には数十年前から開発可能な状態にありましたが、その及ぼす影響の大きさから、あえて世に出さずコントロールされていた側面は正直あったと思います。
しかし数年前から、ルールも無い開発競争の中で世界に開放されてしまった為、現在のあらゆる社会問題にまで発展してしまいました。
AIによるウイルス攻撃とセキュリティの脆弱性
AIの進化に伴い、セキュリティ侵害の脅威は非常に深刻なレベルに達しています。結論から申し上げますと、この脅威を完全に止めることは既に不可能です。
現在、多くの企業や店舗が使用しているサーバーやシステムの場所は、インターネット上に公開されています。また、データベースの場所が記述されているものも大手企業で沢山ございます。
悪意を持った攻撃者がAIを利用すると、システムの脆弱性(抜け穴)を24時間で自動で検索し、高速で攻撃を仕掛けることが可能になります。
防御する側の従来のセキュリティ対策では、AIによる高速かつ変則的な攻撃には付いていけず、サイバーセキュリティの現場は、これまでにない危機的な状況に置かれています。
今後も特に狙われるのは、国家・行政機関、防衛、インフラ、金融機関、証券会社です。
AIは人類にとって危険か
「AIは人類にとって危険か」という問いに対する私の答えは「Yes(危険である)」です。既に市場のAIは暴走しており、これはAIの本能のようなものです。
現在は比較的、悪用する人間側の問題が強いのですが、今後はAIが勝手に考えて最良と思い選択した、決して人類にとって許されない事を実行する可能性も否定できず、既にこれは緊急停止ボタン(キルスイッチ)程度で止められるレベルでもありません。
AIは使い方によって仕事の効率化や生産性の向上だけでなく、世界中の飢餓や食料不足を解決する手段にも充分なり得ます。
刃物でもAIでも、使い方次第で便利になりますし、危険なものになります。
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