新しく会社を立ち上げたりお店を開いたりするとき、誰もが「これだけの売上を出して会社を大きくしよう!」と胸を躍らせて事業計画書を作成します。
しかし、実際の経営現場では、自分の予想通りに物事が進むケースはほとんどありません。経営で失敗してしまう典型的な例として「こうなったらいいな、という希望的観測」だけで作成された非現実的な事業計画でビジネスを始めてしまうケースが非常に多く見られます。
売上の予想はいくらでも膨らませることができますが、毎月必ず出ていく家賃や人件費といった固定費は、売上の有無にかかわらず確実に会社から現金(キャッシュ)を奪っていきます。
経営において最も大切なのは、夢を描くこと以上に「思わぬトラブルが起きても会社を倒産させない堅実なリスク管理」です。
本日は、予想だけの事業計画の危険性や赤字や倒産を防止そして回避する方法を解説いたします。
1. 起業・開業してからの現実!数字で見る厳しすぎる倒産率
「絶対に成功するはずだ」と強い自信を持って起業する方はたくさんいらっしゃいますが、実際の倒産率は私たちが考えている以上に厳しいものです。
一般的に、新しく設立された会社や開店した個人店舗のうち、起業から1年以内に約20%~30%が廃業・倒産に追い込まれ、5年後には約50%、そして10年後まで生き残れる企業はわずか10%程度(1割)に過ぎないと言われています。
何故これほどまでに多くのお店や会社が姿を消してしまうのでしょうか。
その最大の原因は、開業前の資金繰り(キャッシュフロー)の計算が甘く、売上が軌道に乗る前に手元の資金が底をついてしまうからです。どんなに素晴らしい商品やサービスを持っていても、毎月のお金を支払えなくなった瞬間に経営はストップしてしまいます。
経営をスタートさせるということは、想像以上の競争や予期せぬ出費が待ち構えている厳しい現実に挑むことだと先ずは知っておく必要があります。
2. 「これで大丈夫」という予想が引き起こす失敗
経営で失敗してしまう人に共通する危険な心理状態が「これで大丈夫、成功するはずだ」という自信です。事業計画を作るとき、無意識のうちに「お客様が毎日たくさん来てくれる」「毎月順調に売上が20%ずつ伸びていく」といった最高の結果ばかりを前提に数字を組み立ててしまう経営者様が非常に多くいらっしゃいます。
しかし現実には、開店したばかりのお店や新しい会社は知名度がゼロからのスタートです。広告を出しても思ったように集客できなかったり、ライバル店が強い値下げ攻撃を仕掛けてきたり、頼りにしていた取引先から突然契約を解除されたりといったトラブルが日常茶飯事のように起こります。
最悪の状況(売上が予想の半分以下になった場合など)をシミュレーションせず、最高の結果だけを信じて突き進んでしまうと、一度の失敗で立ち直れなくなってしまい、多額の借金だけが残る人生になってしまいます。
最初の事業計画は本当に控えめに自分が予想する10~50%くらいがいいかもしれません。
3. 世界的に有名な大企業の共通点!ガレージや狭い部屋からのスタート
今では世界的な巨大企業として知られるApple(アップル)やAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)といった会社も、設立当初から豪華なオフィスや立派な店舗を持っていたわけではありません。彼らの多くは、自宅の「狭いガレージ」や小さなアパートの一室から、極限までコストを抑えて事業をスタートさせています。
彼らが世界企業へと成長できた共通の理由は「最初から無駄な固定費(家賃や設備費)を一切かけなかったこと」にあります。売上がまだ不安定な創業期に立派なオフィスや高級なインテリアにお金をかけてしまうと、それだけで資金が急速に削られてしまいます。
最初から城を構えるのではなく「できる限りお金をかけずに小さく始め、手元のお金を残しながら徐々に大きくする」ことこそが、起業や開業時の経営の基本といえます。
4. 必ず一定の利益が出てからステップアップ!事務所と雇用の注意点
身の丈に合わない無理な経営は、会社の倒産やお店の閉店を導く一番のリスクとなります。
特によくある失敗パターンが、少し売上が上がったからといって「すぐに広くて綺麗な事務所に引越してしまう」「見切り発車で正社員を何人も雇ってしまう」という事業展開です。
オフィスや店舗の家賃、そして従業員の人件費は、毎月固定で発生する最大の経費です。一度契約を結んだり雇用したりすると、売上が落ちたからといって簡単に下げることはできません。事業を拡大する際の安全なルールは、「何ヶ月も連続して目標以上の純利益が確実に出て、手元の内部留保(貯金)が十分に貯まってから初めて固定費を上げるステップに進む」ということです。
経営が本格的に起動に乗るまでは、固定費を低く保つ工夫「スモールビジネスの維持」こそが、不況などでも強い経営体質を作り出します。
5. 外部環境の変化に備える!今後の国内・世界情勢への注意
自社の努力だけではどうにもならない日本国内や世界情勢などの外部の環境変化に翻弄されて倒産してしまう企業も少なくありません。
近年の日本国内や世界情勢を見渡しても、原油や原材料価格の高騰、歴史的な円安、インフレによるコスト上昇、人手不足による人件費の上昇、さらには感染症の流行や自然災害など、予期せぬリスクが次々と発生しています。
どんなに優れた事業計画であっても、こうした情勢の変化一つで前提条件が崩れ去ってしまうことがあります。
だからこそ経営者は、「自分の事業計画はいつでも崩れる可能性がある」という前提に立ち、予備の資金を確保しておくことや、社会の動きに合わせて柔軟にビジネスモデルを変えられる新事業や多角化などの準備をしておくことが重要となります。
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